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プロジェクトとは、 期限があり 、 独自の成果物を生み出す 一時的な活動のことです。たとえば「文化祭でたこ焼き屋を出す」はプロジェクトですが、「毎日の授業」はプロジェクトではありません(終わりがなくルーティンだから)。
このセクションでは、プロジェクトを成功させるための国際標準である PMBOK の考え方を学び、 WBS による作業分解、 アローダイアグラム と クリティカルパス によるスケジュール管理、そして EVM によるコスト管理まで体系的にカバーします。
PMBOK は、プロジェクトマネジメントの知識体系を整理した国際標準です。 PMI (Project Management Institute)が策定しています。FE 試験では PMBOK の 10 の知識エリア と 5 つのプロセス群 を理解しておく必要があります。
プロジェクトの進行を5つの段階に分けたものです。
| プロセス群 | 内容 | 文化祭の例 |
|---|---|---|
| 立上げ | プロジェクトの目的と権限を明確にする | 「たこ焼き屋をやろう」と決定、実行委員を任命 |
| 計画 | スコープ・スケジュール・予算・リスク等の計画策定 | メニュー・材料費・担当・スケジュールを決める |
| 実行 | 計画に基づいて作業を実施する | 買い出し、調理、販売 |
| 監視・コントロール | 計画と実績を比較し、差異があれば是正する | 売上をチェックし、値段や仕入れ量を調整 |
| 終結 | 成果物の納品、振り返り、教訓の記録 | 片付け、収支報告、反省会 |
| 知識エリア | 管理対象 |
|---|---|
| スコープ管理 | 何を作るか(成果物の範囲) |
| スケジュール管理 | いつまでに完了するか |
| コスト管理 | いくらかかるか |
| 品質管理 | 求められる品質を満たしているか |
| 資源管理 | 人員・機材等のリソース |
| コミュニケーション管理 | 関係者への情報共有 |
| リスク管理 | 不確実な事象への対応 |
| 調達管理 | 外部からの購入・委託 |
| ステークホルダー管理 | 利害関係者との関係構築 |
| 統合管理 | 上記すべてを統合・調整 |
スコープ とは、プロジェクトで「何を作るか」 「どこまでやるか」 の範囲のことです。スコープが曖昧だと、途中で「これもやって」「あれも追加して」と要求が膨らみ続ける スコープクリープ が発生します。
文化祭の例でいえば、「たこ焼きを売る」がスコープなのに、「ドリンクも売ろう」「装飾も凝ろう」と際限なく広がるのがスコープクリープです。
プロジェクトの成果物を 階層的に分解 して、管理可能な単位( ワークパッケージ )にする手法です。すべての作業を漏れなく洗い出す( 100% ルール )ことが原則です。
WBS のメリットは以下の通りです。
プロジェクトのスケジュールを管理する代表的な手法を学びます。
横軸に時間、縦軸に作業項目を取り、各作業の開始日・終了日を 横棒 で表現した図です。作業の進捗状況が一目でわかりますが、 作業間の依存関係 がわかりにくいという欠点があります。
プロジェクトの中で重要な 節目 (区切り)となるイベントです。「設計完了」「テスト開始」「納品」などがマイルストーンにあたります。作業そのものではなく、特定の時点を示す点であることに注意してください。
作業の 順序関係 と 所要日数 を矢印で表した図です。正式には PERT (Program Evaluation and Review Technique)と呼ばれる手法で使われます。
以下の例では、作業 A(3日)→ B(4日)→ D(2日)と、作業 A(3日)→ C(5日)→ D(2日)の2つの経路があります。
クリティカルパス とは、プロジェクト全体の所要期間を決定する 最長経路 のことです。クリティカルパス上の作業が遅れると、プロジェクト全体が遅延します。
以下のプロジェクトで、全体の最短所要日数とクリティカルパスを求めます。
| 作業 | 先行作業 | 所要日数 |
|---|---|---|
| A | なし | 3日 |
| B | A | 4日 |
| C | A | 2日 |
| D | B | 3日 |
| E | B, C | 5日 |
| F | D, E | 2日 |
各経路の所要日数を計算します。
最長経路は 経路2(14日) なので、クリティカルパスは A → B → E → F 、プロジェクト全体の最短所要日数は 14日 です。
クリティカルパスでない経路上の作業には 余裕日数 (フロート)があります。
クリティカルパス上の作業の余裕日数は 0日 です。つまり、1日でも遅れるとプロジェクト全体が遅延します。
プロジェクトの進捗とコストを 定量的に 管理する手法です。「予定通り進んでいるか」「予算内に収まっているか」を数値で把握できます。
| 指標 | 英語 | 意味 |
|---|---|---|
| PV | Planned Value | ある時点までに完了する 予定 だった作業の予算 |
| EV | Earned Value | ある時点までに 実際に完了 した作業の予算上の価値 |
| AC | Actual Cost | ある時点までに 実際にかかった コスト |
| BAC | Budget At Completion | プロジェクト全体の総予算 |
文化祭の例でイメージすると:
| 指標 | 計算式 | 意味 | 判定 |
|---|---|---|---|
| SV (スケジュール差異) | EV - PV | 進捗の進み/遅れ | 正なら前倒し、負なら遅延 |
| CV (コスト差異) | EV - AC | 予算の過不足 | 正なら予算内、負なら超過 |
| SPI (スケジュール効率指数) | EV / PV | 進捗の効率 | 1.0 超で前倒し、1.0 未満で遅延 |
| CPI (コスト効率指数) | EV / AC | コストの効率 | 1.0 超で予算内、1.0 未満で超過 |
あるプロジェクトの3か月目時点のデータが以下の通りです。
EAC (Estimate At Completion)は、現在のコスト効率が続いた場合の完了時総コスト予測です。
この結果から「スケジュールは2割遅れ、コストは約150万円超過する見込み」と判断できます。
ポイント
PMBOK は5つのプロセス群(立上げ・計画・実行・監視コントロール・終結)と10の知識エリアで構成される。 WBS はプロジェクトの成果物を階層的に分解し、ワークパッケージ単位で管理する手法。 アローダイアグラム で作業の順序関係と所要日数を図示し、 クリティカルパス (最長経路)がプロジェクト全体の最短所要日数を決定する。クリティカルパス上の作業の余裕日数は0日。 EVM では PV(計画値)・EV(実績値)・AC(実績コスト)の3指標を使い、SPI = EV / PV でスケジュール効率、CPI = EV / AC でコスト効率を測定する。SPI・CPI が 1.0 未満なら遅延・超過を意味する。
用語
どんなに入念に計画を立てても、プロジェクトには予期しない問題が発生します。天候不良で材料が届かない、メンバーが体調を崩す、想定より作業に時間がかかる――こうした不確実な事象を事前に把握して対策を打つのが リスク管理 です。
また、完成した成果物が求められる品質を満たしているかを確認・改善する 品質管理 も重要です。このセクションでは、リスクの特定・分析・対応策と、QC 七つ道具を中心とした品質管理手法、そしてチーム管理・コミュニケーション管理を学びます。
リスク管理は以下の4段階で行います。
プロジェクトに影響を与える可能性のあるリスクを洗い出します。
リスクの 発生確率 と 影響度 を評価します。
| 分析方法 | 内容 |
|---|---|
| 定性的リスク分析 | 発生確率と影響度を「高・中・低」で評価。リスクの優先順位をつける |
| 定量的リスク分析 | 金額や日数など数値で影響を算出。モンテカルロシミュレーションなどを使う |
リスクの優先度は 発生確率 × 影響度 で決めるのが基本です。「発生確率は低いが影響が甚大」なリスク(例: 大地震)と「発生確率は高いが影響は軽微」なリスク(例: 軽い仕様変更)を適切に比較できます。
特定・分析したリスクに対して、以下の4つの戦略から対応策を選びます。
| 対応策 | 内容 | 文化祭の例 |
|---|---|---|
| 回避 | リスクの原因を取り除く | 屋外出店をやめて屋内にする(雨のリスクを排除) |
| 軽減 | 発生確率や影響度を下げる | テント・防水シートを準備する(雨の影響を減らす) |
| 転嫁 | リスクを第三者に移す | イベント保険に入る(損害を保険会社に転嫁) |
| 受容 | リスクを認識しつつ対策を取らない | 「多少の雨なら営業を続ける」と決める |
受容 にも2種類あります。
品質管理(Quality Control: QC)は、成果物が要求された品質を満たしているかを検査・改善する活動です。
| 活動 | 内容 |
|---|---|
| 品質計画 | 品質の基準・目標を決める |
| 品質保証(QA) | プロセスが適切に実施されているか監査する |
| 品質管理(QC) | 成果物の品質を測定し、基準を満たしているか確認する |
品質管理では QC 七つ道具 と呼ばれる分析手法が用いられます。FE 試験では特に パレート図 ・ 特性要因図 ・ 管理図 が重要です。
不良の原因を件数の多い順に棒グラフで並べ、累積比率を折れ線グラフで重ねた図です。 重点的に対策すべき原因 を特定するために使います。「全体の 80% の問題は 20% の原因から生じる」という パレートの法則 (80:20 の法則)に基づいています。
結果(特性)とその原因(要因)の関係を 魚の骨 のような形で整理した図です。問題の根本原因を体系的に洗い出すのに使います。
大骨として 4M (Man: 人、Machine: 機械、Material: 材料、Method: 方法)を使うのが一般的です。
時間の経過に沿ってデータをプロットし、 UCL (上方管理限界線)と LCL (下方管理限界線)の間に収まっているかを監視する図です。管理限界を超えた点がある場合、工程に 異常 が発生していると判断します。
| 手法 | 用途 |
|---|---|
| ヒストグラム | データの分布(ばらつき)を棒グラフで表示する |
| 散布図 | 2つの変数の相関関係を点の分布で確認する |
| チェックシート | データ収集用の定型フォーム |
| 層別 | データをグループ(層)に分けて分析する |
プロジェクトの成否はチームの力に大きく依存します。プロジェクトマネージャには技術力だけでなく、チームをまとめる リーダーシップ が求められます。
| 段階 | 状態 | PM の対応 |
|---|---|---|
| 形成期 | メンバーが集まったばかりで遠慮がち | 目的・役割を明確にする |
| 混乱期 | 意見の対立・衝突が起きる | 対立を恐れず議論を促す |
| 統一期 | ルール・役割が定着し協力が生まれる | 自主性を尊重する |
| 機能期 | チームが一体となり高い成果を出す | 権限を委譲する |
| 散会期 | プロジェクト終了でチームが解散する | 成果を称え教訓を共有する |
チーム内の対立(コンフリクト)への対処法には以下があります。
プロジェクトでは、適切な情報を適切なタイミングで適切な相手に伝えることが重要です。
プロジェクトメンバーが n 人のとき、コミュニケーションチャネル(経路)の数は以下の式で求められます。
チャネル数 = n × (n - 1) / 2
| メンバー数 | チャネル数 |
|---|---|
| 3人 | 3 × 2 / 2 = 3 |
| 5人 | 5 × 4 / 2 = 10 |
| 10人 | 10 × 9 / 2 = 45 |
| 20人 | 20 × 19 / 2 = 190 |
メンバーが増えるとチャネル数は 急激に増加 します。これが「人を増やしてもプロジェクトは早くならない」理由の一つです( ブルックスの法則 )。コミュニケーションコストが膨大になるためです。
ステークホルダー とは、プロジェクトに影響を与える、または影響を受けるすべての利害関係者です。顧客・スポンサー・チームメンバー・経営層・エンドユーザーなどが含まれます。
ポイント
リスク管理は 特定 → 分析 → 対応 → モニタリング の4段階。対応策は 回避 (原因除去)・ 軽減 (影響低減)・ 転嫁 (第三者へ移転)・ 受容 (対策なし)の4つ。品質管理では QC 七つ道具 が重要で、 パレート図 は重点対策の原因特定、 特性要因図 は根本原因の体系的分析、 管理図 は工程の異常検出に使う。チームは タックマンモデル の5段階(形成期→混乱期→統一期→機能期→散会期)で発展する。コミュニケーションチャネル数は n × (n - 1) / 2 で求め、人数増加でコストが急増することを理解する。
用語