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企業は利益を得るために、人・モノ・カネ・情報といった 経営資源 を活用して事業を行います。皆さんが日常的に利用するコンビニやスマートフォンのサービスも、裏側では企業の組織が戦略を立て、会計で数字を管理しながら運営されています。
このセクションでは、まず企業の 経営組織 の形態を学び、次に経営層の 役職(CxO) を整理します。後半では企業のお金の流れを把握するための 財務諸表 と、経営の効率を測る 財務指標 を計算例とともに理解します。
企業が大きくなるにつれて、仕事の分担方法(組織形態)を工夫する必要があります。代表的な4つの組織形態を比較しましょう。
営業部・製造部・経理部 のように、業務の機能(職能)ごとに部門を分ける最も基本的な組織形態です。中小企業で多く採用されます。
製品別・地域別・顧客別 に事業部を設け、各事業部が独立して経営判断を行う組織です。大企業で多く採用されます。
職能別と事業部制を 掛け合わせ た組織です。社員は「職能部門の上司」と「事業・プロジェクトの上司」の 2人の上司 を持ちます。
特定の目標を達成するために、各部門から専門家を集めて 期間限定 で編成する組織です。IT開発やイベント運営などで使われます。
企業の経営層には、それぞれ担当領域を持つ 最高責任者(CxO: Chief x Officer) が置かれます。FE試験では以下の3つが頻出です。
| 略称 | 正式名称 | 役割 |
|---|---|---|
| CEO | Chief Executive Officer(最高経営責任者) | 経営全体の最終意思決定。企業のトップ |
| CIO | Chief Information Officer(最高情報責任者) | 情報戦略の策定と IT 投資の意思決定 |
| CISO | Chief Information Security Officer(最高情報セキュリティ責任者) | 情報セキュリティ方針の策定と管理 |
その他にも COO(最高執行責任者)、CFO(最高財務責任者)、CTO(最高技術責任者)などがあります。CIO と CISO の違いは、CIO が 情報活用による経営戦略 を担うのに対し、CISO は 情報セキュリティの確保 に特化している点です。
企業のお金の状況を把握するための報告書を 財務諸表 と呼びます。FE試験では以下の3つが出題されます。
一定期間(通常1年間)の 収益と費用 を示し、最終的な利益を計算する書類です。「いくら稼いで、いくら使って、いくら残ったか」がわかります。
| 項目 | 計算 |
|---|---|
| 売上総利益(粗利) | 売上高 - 売上原価 |
| 営業利益 | 売上総利益 - 販売費及び一般管理費(販管費) |
| 経常利益 | 営業利益 + 営業外収益 - 営業外費用 |
| 税引前当期純利益 | 経常利益 + 特別利益 - 特別損失 |
| 当期純利益 | 税引前当期純利益 - 法人税等 |
計算例:
ある時点での 資産・負債・純資産 のバランスを示す書類です。「何を持っていて(資産)、いくら借りていて(負債)、自分のお金はいくらか(純資産)」がわかります。
資産 = 負債 + 純資産 という等式が常に成り立ちます。
| 左側(借方) | 右側(貸方) |
|---|---|
| 資産 | 負債 (他人資本) |
| 流動資産(現金・売掛金等) | 流動負債(買掛金・短期借入金等) |
| 固定資産(建物・機械等) | 固定負債(長期借入金・社債等) |
| 純資産 (自己資本) | |
| 資本金・利益剰余金等 |
一定期間の 現金の流れ を3つの活動に分けて示す書類です。利益が出ていても現金が不足すると企業は倒産します( 黒字倒産 )。
| 区分 | 内容 | 健全な企業の典型 |
|---|---|---|
| 営業活動による C/F | 本業での現金の出入り | プラス(本業で稼いでいる) |
| 投資活動による C/F | 設備投資や資産売却 | マイナス(成長に投資している) |
| 財務活動による C/F | 借入・返済・配当 | マイナス(借金を返済している) |
財務諸表の数値をもとに、企業の経営効率や安全性を評価する指標です。
ROE = 当期純利益 / 自己資本 × 100 (%)
株主が出資したお金(自己資本)に対して、どれだけ利益を生んだかを示します。ROE が高いほど 株主にとって効率の良い経営 です。
計算例:
ROA = 当期純利益 / 総資産 × 100 (%)
企業が持つ全ての資産を使って、どれだけ利益を生んだかを示します。ROA が高いほど 資産を効率的に活用 しています。
計算例:
自己資本比率 = 自己資本 / 総資産 × 100 (%)
総資産に占める自己資本の割合です。高いほど借金が少なく 財務的に安定 しています。一般に 40% 以上が健全とされます。
計算例:
売上高と費用がちょうど等しくなり、利益がゼロになる売上高を 損益分岐点売上高 と呼びます。
費用は 固定費 (売上に関係なく一定:家賃・人件費等)と 変動費 (売上に比例:材料費等)に分かれます。
損益分岐点売上高 = 固定費 / (1 - 変動費率)
変動費率 = 変動費 / 売上高
計算例:
ポイント
組織形態は 職能別 (機能ごと)・ 事業部制 (製品・地域ごと)・ マトリクス (2軸で管理)・ プロジェクト型 (期間限定)の4種類。CIO は情報戦略、CISO は情報セキュリティの責任者。 損益計算書(P/L) は一定期間の収益と費用、 貸借対照表(B/S) はある時点の資産・負債・純資産、 キャッシュフロー計算書 は現金の流れを示す。財務指標は ROE = 当期純利益 / 自己資本 × 100、 ROA = 当期純利益 / 総資産 × 100、 自己資本比率 = 自己資本 / 総資産 × 100。 損益分岐点売上高 = 固定費 / (1 - 変動費率) で、この売上を超えると利益が出る。
用語
企業が効率的に経営を行うためには、データに基づいた意思決定が欠かせません。「どの製品をどれだけ作れば利益が最大になるか」「在庫はどのタイミングで発注すべきか」「品質に問題はないか」といった課題を、数学的・統計的な手法で解決するのが OR(Operations Research: オペレーションズリサーチ) と 業務分析 です。
このセクションでは、FE試験で頻出の 線形計画法 、 在庫管理(EOQ) 、 ABC分析 、 QC七つ道具 、 PDCAサイクル 、そして 意思決定の手法 を学びます。
複数の制約条件のもとで、目的関数(利益など)を 最大化 または 最小化 する手法です。制約条件と目的関数がすべて 一次式(線形) で表される場合に適用できます。
ある工場で製品A、製品Bを生産する。
定式化:
実行可能領域の頂点を求める:
最適解: x = 3, y = 4.5 のとき、最大利益 3,150円
試験では実行可能領域の頂点の座標を求め、目的関数に代入して比較する方法が確実です。
在庫は多すぎると 保管コスト がかさみ、少なすぎると 品切れ(欠品) が発生します。在庫管理では、この2つのバランスを取ることが重要です。
| 方式 | 説明 | 適する品目 |
|---|---|---|
| 定量発注方式 | 在庫が 発注点 を下回ったら、 一定量 を発注 | 需要が安定した品目 |
| 定期発注方式 | 一定の間隔 で、必要量を計算して発注 | 需要が変動する品目、高額品 |
1回の発注量を多くすると発注回数が減り 発注費用 は下がりますが、在庫が増えて 保管費用 は上がります。この 発注費用と保管費用の合計が最小 になる発注量が EOQ です。
EOQ の考え方:
EOQ = 平方根(2DS / H)
計算例:
EOQ のポイントは、 発注費用の曲線と保管費用の曲線が交わる点 が総費用最小になることです。グラフで見ると、発注量が少ないときは発注費用が高く、多いときは保管費用が高くなり、その交点で合計費用が最小になります。
商品や在庫を売上高や出庫量の 大きい順 に並べ、累積比率によって A・B・C の3グループに分類する分析手法です。 パレート図 (棒グラフ+折れ線グラフ)で視覚化します。
| ランク | 累積比率の目安 | 管理方針 |
|---|---|---|
| A | 上位 70% まで | 重点管理(少数だが影響大) |
| B | 70〜90% | 通常管理 |
| C | 90〜100% | 簡易管理(多数だが影響小) |
この考え方の背景にあるのが パレートの法則(80:20の法則) です。「売上の80%は上位20%の商品が生み出している」という経験則で、重点管理すべき対象を絞り込むのに役立ちます。
活用例:
品質管理(QC: Quality Control)で使われる7つの基本的な分析ツールです。製造業だけでなく、IT プロジェクトの品質管理にも応用されます。
| ツール | 用途 | 概要 |
|---|---|---|
| パレート図 | 重点問題の特定 | 棒グラフ(件数)と折れ線(累積比率)で、影響の大きい要因を特定 |
| 特性要因図(フィッシュボーン図) | 原因の洗い出し | 結果(特性)に影響する原因を魚の骨のように分類・整理 |
| ヒストグラム | データの分布把握 | データの度数分布を棒グラフで表示。ばらつきや偏りを可視化 |
| 散布図 | 2変数の相関分析 | 2つのデータの関係を点で表示。正の相関・負の相関・無相関を判断 |
| 管理図 | 工程の安定性監視 | 時系列データに上方管理限界(UCL)と下方管理限界(LCL)を設定 |
| チェックシート | データの記録・集計 | あらかじめ項目を用意し、チェックマークで簡単にデータを収集 |
| 層別 | データの分類 | データを要因(時間帯・機械・作業者等)ごとに分けて分析 |
特性要因図は 4M(Man・Machine・Material・Method) の分類で原因を整理するのが定番です。問題の根本原因を探る なぜなぜ分析 と組み合わせて使われることも多いです。
業務や品質を 継続的に改善 するためのマネジメントサイクルです。4つのフェーズを繰り返すことで、組織の活動を螺旋的に向上させます。
| フェーズ | 内容 | 具体例(Web サービス改善) |
|---|---|---|
| Plan(計画) | 目標を設定し、実行計画を立てる | 「ページ表示速度を2秒以内にする」と目標設定 |
| Do(実行) | 計画に基づいて実施する | 画像の圧縮、キャッシュの導入を実施 |
| Check(評価) | 結果を測定し、計画との差を分析 | 表示速度を計測し、目標達成度を確認 |
| Act(改善) | 差異の原因を特定し、次の計画に反映 | 未達の部分を特定し、次の改善策を立案 |
PDCA が1周で終わらず 繰り返す 点が重要です。1回の改善で完璧を目指すのではなく、小さな改善を積み重ねる考え方です。
不確実な状況で最適な選択を行うための手法です。FE試験では 期待値 を使った計算問題が出題されます。
各選択肢の結果に、その発生確率を掛けて合計した値です。どの選択肢が 平均的に最も有利か を判断できます。
期待値 = 各結果の値 × その発生確率 の合計
計算例:
意思決定の選択肢とその結果を 木構造 で視覚化する手法です。各分岐に確率と結果を記入し、期待値を計算して最適な選択肢を判断します。
デシジョンツリーでは、 四角(□) が意思決定ノード(自分で選ぶ)、 丸(○) が確率ノード(結果が確率で決まる)を表します。右端から左に向かって期待値を計算し、最も期待値の高い選択肢を選びます。
複数の意思決定者(プレイヤー)が互いの行動を考慮しながら戦略を選ぶ理論です。
| 用語 | 説明 |
|---|---|
| マクシミン戦略 | 各選択肢の 最悪の結果 を比較し、その中で 最も良い ものを選ぶ(悲観的な戦略) |
| マクシマックス戦略 | 各選択肢の 最良の結果 を比較し、その中で 最も良い ものを選ぶ(楽観的な戦略) |
例: 利得表
| 相手が戦略X | 相手が戦略Y | |
|---|---|---|
| 自分が戦略A | 100 | 30 |
| 自分が戦略B | 60 | 50 |
ポイント
線形計画法 は制約条件下で目的関数を最適化する手法で、最適解は実行可能領域の頂点に存在する。 EOQ(経済的発注量) は発注費用と保管費用の合計が最小になる発注量で、平方根(2DS / H) で求める。 ABC分析 は売上等の累積比率で A(上位70%)・B(70〜90%)・C(90〜100%)に分類して重点管理。 QC七つ道具 はパレート図・特性要因図・ヒストグラム・散布図・管理図・チェックシート・層別の7つ。 PDCAサイクル は Plan→Do→Check→Act を繰り返して継続的に改善。意思決定では 期待値 = 各結果 × 確率の合計、 マクシミン は最悪の中の最良、 マクシマックス は最良の中の最良を選ぶ。
用語