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企業が長期的に成長するためには、自社の強みや弱み、市場の動向を把握したうえで戦略を立てる必要があります。たとえばコンビニ大手がプライベートブランド商品を強化するのも、飲食チェーンが海外進出するのも、すべて経営戦略に基づいた意思決定です。
このセクションでは、経営戦略を立てるための代表的な 分析フレームワーク (SWOT分析・PPM・ファイブフォース分析・バリューチェーン分析)と、 競争戦略 、 マーケティング の基礎を学びます。
自社の経営環境を 内部環境 と 外部環境 の2軸、さらにそれぞれを プラス要因 と マイナス要因 に分けて4つの視点で整理するフレームワークです。
| プラス要因 | マイナス要因 | |
|---|---|---|
| 内部環境 | S trengths(強み) | W eaknesses(弱み) |
| 外部環境 | O pportunities(機会) | T hreats(脅威) |
| 分類 | 具体例 |
|---|---|
| 強み(S) | 自家焙煎のこだわりコーヒー、常連客のコミュニティ |
| 弱み(W) | 席数が少ない、知名度が低い |
| 機会(O) | リモートワーク需要の増加、SNS での口コミ拡散 |
| 脅威(T) | 大手チェーンの出店、原材料費の高騰 |
SWOT 分析の結果をもとに、 クロス SWOT で戦略を導き出します。
ボストン・コンサルティング・グループ(BCG)が提唱したフレームワークで、事業や製品を 市場成長率 (縦軸)と 相対的市場占有率(市場シェア) (横軸)の2軸で4つの象限に分類します。
| 象限 | 市場成長率 | 市場シェア | 特徴 | 戦略 |
|---|---|---|---|---|
| 花形(Star) | 高 | 高 | 売上も大きいが投資も必要 | 積極投資で市場リーダーを維持 |
| 金のなる木(Cash Cow) | 低 | 高 | 安定した利益を生む | 追加投資を抑え、利益を他事業に回す |
| 問題児(Question Mark) | 高 | 低 | 成長市場だがシェアが低い | 投資して花形を目指すか撤退か判断 |
| 負け犬(Dog) | 低 | 低 | 利益が少なく将来性も低い | 撤退・縮小を検討 |
マイケル・ポーターが提唱した、業界の 競争環境 を5つの力(フォース)で分析するフレームワークです。これにより、その業界が「儲かりやすい業界か」を判断できます。
| フォース | 説明 | コンビニ業界の例 |
|---|---|---|
| 業界内の競争 | 既存企業間の競争の激しさ | セブン・ローソン・ファミマの3社寡占 |
| 新規参入の脅威 | 新しい競合が参入するリスク | 出店コスト・ブランド力で参入障壁は高い |
| 代替品の脅威 | 他の製品やサービスに置き換えられるリスク | ネットスーパー、自動販売機 |
| 売り手の交渉力 | 仕入先(サプライヤー)の交渉力 | PB商品の開発で仕入先への依存を低減 |
| 買い手の交渉力 | 顧客の交渉力 | 消費者は簡単に他店に切り替えられる |
企業の活動を 主活動 と 支援活動 に分解し、どの工程で 価値(バリュー) が生まれているかを分析するフレームワークです。ポーターが提唱しました。
購買物流 → 製造 → 出荷物流 → 販売・マーケティング → サービス(アフターサービス)
全般管理(経営企画・財務)、人事・労務管理、技術開発、調達活動
| 活動 | 内容 | 付加価値のポイント |
|---|---|---|
| 購買物流 | 食材の仕入れ・品質管理 | 安定した品質の食材を低コストで調達 |
| 製造 | ハンバーガーの調理 | 短時間で均一な品質を実現するオペレーション |
| 出荷物流 | 店舗への配送 | 鮮度を保つコールドチェーン |
| 販売・マーケティング | 広告・プロモーション | ブランディングと期間限定メニュー |
| サービス | 店舗での接客・デリバリー | 顧客体験の向上 |
バリューチェーン分析により、競争優位の源泉となる工程を特定し、経営資源を集中させることができます。逆に、価値を生まない工程は アウトソーシング (外部委託)を検討します。
ポーターは、業界で競争優位を確立するための基本戦略を3つに分類しました。
| 戦略 | 概要 | 具体例 |
|---|---|---|
| コストリーダーシップ戦略 | 業界最低コストを実現して価格競争で優位に立つ | 大手ファストフードチェーンの大量仕入れによる原価低減 |
| 差別化戦略 | 他社にない独自の価値を提供して競争する | スターバックスの「サードプレイス」としてのブランド体験 |
| 集中戦略 | 特定のセグメント(市場・顧客層)にリソースを集中する | 高級食パン専門店が「食パン」だけに特化 |
集中戦略はさらに コスト集中 (特定市場で低コスト)と 差別化集中 (特定市場で差別化)に分かれます。
市場における自社の立ち位置に応じた戦略も重要です。
| 競争地位 | 特徴 | 基本戦略 | 例 |
|---|---|---|---|
| リーダー | 市場シェア1位 | 全方位戦略(市場全体を拡大) | トヨタ自動車 |
| チャレンジャー | 2〜3位 | リーダーとの差別化 | ホンダ、日産 |
| フォロワー | 下位企業 | リーダーの模倣(低コスト) | 低価格帯メーカー |
| ニッチャー | 特定分野に特化 | 独自領域の深耕 | 高級スポーツカーメーカー |
マーケティング戦略を立てるとき、4つの要素を組み合わせて最適な施策を設計します。
| 要素 | 英語 | 内容 | コンビニの例 |
|---|---|---|---|
| Product(製品) | 何を売るか | 品質・デザイン・ブランド・PB商品 | おにぎり、PBスイーツ |
| Price(価格) | いくらで売るか | 定価・割引・値引き戦略 | 100円おにぎりセール |
| Place(流通) | どこで売るか | 販売チャネル・立地・物流 | 駅前・住宅街への出店戦略 |
| Promotion(販促) | どう知らせるか | 広告・PR・販売促進・SNS | テレビCM、アプリクーポン |
4P は 売り手視点 のフレームワークですが、 買い手視点 で捉え直した 4C もあります。
| 4P(売り手視点) | 4C(買い手視点) |
|---|---|
| Product(製品) | Customer Value(顧客にとっての価値) |
| Price(価格) | Cost(顧客が負担するコスト) |
| Place(流通) | Convenience(入手の利便性) |
| Promotion(販促) | Communication(顧客との対話) |
既存の競争が激しい市場( レッドオーシャン )で戦うのではなく、競合のいない新しい市場( ブルーオーシャン )を創造する戦略です。
| レッドオーシャン | ブルーオーシャン | |
|---|---|---|
| 市場 | 既存市場で競争 | 新しい市場を創造 |
| 競合 | 多い(激しい競争) | いない(競争を無意味化) |
| 需要 | 既存の需要を奪い合う | 新しい需要を生み出す |
| 戦略 | コストか差別化の二者択一 | コスト削減と差別化を同時に実現 |
具体例: 回転寿司チェーンは、高級寿司店(レッドオーシャン)と競争するのではなく、「手軽に寿司を楽しめる」という新しい市場(ブルーオーシャン)を開拓しました。タッチパネル注文・ベルトコンベアという仕組みで、低コストと利便性を同時に実現しています。
| 用語 | 説明 |
|---|---|
| STP 分析 | Segmentation(市場細分化)→ Targeting(標的市場選定)→ Positioning(自社の位置づけ)の3ステップ |
| RFM 分析 | Recency(最終購買日)・Frequency(購買頻度)・Monetary(購買金額)で顧客を分類 |
| CRM | Customer Relationship Management。顧客との関係を管理し、長期的な関係を構築する手法 |
| One to One マーケティング | 顧客一人ひとりに合わせた個別対応のマーケティング |
| クロスセル | 関連商品を一緒に提案する手法(例: ハンバーガーに「ポテトもいかがですか?」) |
| アップセル | より上位の商品を提案する手法(例: 「Lサイズにしませんか?」) |
ポイント
SWOT 分析 は内部環境(強み・弱み)と外部環境(機会・脅威)の4象限で整理する。 PPM は市場成長率と市場シェアの2軸で事業を「花形・金のなる木・問題児・負け犬」に分類し、資源配分を決める。 ファイブフォース分析 は業界の競争環境を5つの力で評価する。 バリューチェーン分析 は企業活動を主活動と支援活動に分解して価値の源泉を特定する。ポーターの 競争戦略 はコストリーダーシップ・差別化・集中の3つ。 マーケティングミックス(4P) は Product・Price・Place・Promotion で施策を設計する。 ブルーオーシャン戦略 は競合のいない新市場を創造する考え方。
用語
技術の進歩はビジネスを大きく変えます。スマートフォンの普及がモバイル決済を生み出し、AI の発展が業務の自動化を加速させています。このように、技術をどのようにビジネスに活かすかを考える 技術戦略 は、現代の企業経営に不可欠です。
このセクションでは、技術戦略の基本となる 技術ロードマップ や MOT 、 イノベーション の考え方を学び、さらに API エコノミー 、 フィンテック 、 e-ビジネス など現代のビジネスモデルと、企業の業務を支える情報システム( SCM ・ CRM ・ ERP ・ SFA )を体系的にカバーします。
技術の進展と、それをいつ・どのように製品やサービスに適用するかを 時間軸 で示した計画図です。経営層から開発チームまで、技術戦略の方向性を共有するために使います。
一般的に以下の3層で構成されます。
| 層 | 内容 |
|---|---|
| 市場・社会動向 | 顧客ニーズ、規制、市場トレンドの変化 |
| 製品・サービス | どの時期にどんな製品・機能をリリースするか |
| 技術 | 必要な技術の研究開発スケジュール |
技術を経営資源として戦略的に活用し、事業の成長や競争力強化につなげるマネジメント手法です。優れた技術があっても、それをビジネスに結びつけられなければ利益は生まれません。MOT はその橋渡しを行います。
技術がビジネスとして成功するまでには、2つの大きな壁があります。
| 壁 | 段階 | 説明 |
|---|---|---|
| 魔の川 | 研究 → 開発 | 基礎研究の成果が製品開発に移行できない壁 |
| 死の谷 | 開発 → 事業化 | 開発に必要な資金や人材が不足して製品化できない壁 |
| ダーウィンの海 | 事業化 → 市場定着 | 市場に投入しても競争に勝てず淘汰される壁 |
身近な例で考えると、大学で画期的な新素材が発見されても(基礎研究)、それを製品化する資金がなければ「死の谷」に落ちます。製品化できても、消費者に受け入れられなければ「ダーウィンの海」で沈みます。
新しい技術やアイデアによって、既存の市場や産業構造を変革することです。
| 種類 | 説明 | 例 |
|---|---|---|
| プロダクトイノベーション | 新しい製品・サービスを生み出す | スマートフォンの登場 |
| プロセスイノベーション | 生産工程・業務プロセスを革新する | 工場へのロボット導入で生産効率向上 |
クレイトン・クリステンセンが提唱した分類です。
| 種類 | 説明 | 例 |
|---|---|---|
| 持続的イノベーション | 既存製品を改良して性能を向上させる | 毎年性能が上がるスマートフォンの新モデル |
| 破壊的イノベーション | 既存の市場を覆す全く新しい価値を提供 | デジカメがフィルムカメラ市場を置き換えた |
優良企業が既存顧客のニーズに応え続けた結果、破壊的イノベーションに対応できず市場シェアを失ってしまう現象です。たとえば、ガラケーで成功していた国内メーカーがスマートフォンの波に乗り遅れたケースが典型例です。
自社だけでなく、外部の技術やアイデアを積極的に取り込んで革新を進める考え方です。大企業がスタートアップに投資・提携するケースが増えています。
API(Application Programming Interface) を通じて自社のサービスや機能を外部に公開し、他社との連携によって新しい価値やビジネスを生み出す経済圏です。
| API 提供元 | 連携例 |
|---|---|
| 地図サービス | 飲食店検索アプリが地図 API を利用して店舗位置を表示 |
| 決済サービス | EC サイトがオンライン決済 API を組み込んでカード払いに対応 |
| SNS | Web サイトに「SNS ログイン」ボタンを設置(認証 API の利用) |
API エコノミーでは、API を公開する側も利用する側も 相互にメリット があります。公開側はサービスの利用拡大、利用側は開発コストの削減と機能の迅速な実装が可能です。
Finance(金融) と Technology(技術) を組み合わせた造語で、IT を活用した革新的な金融サービスのことです。
| 分野 | 説明 | 例 |
|---|---|---|
| モバイル決済 | スマートフォンで支払い | QR コード決済、タッチ決済 |
| 暗号資産(仮想通貨) | ブロックチェーン技術に基づくデジタル通貨 | ビットコイン、イーサリアム |
| クラウドファンディング | インターネットで不特定多数から資金を調達 | 製品開発の事前資金集め |
| ロボアドバイザー | AI が資産運用を自動で行う | 投資信託の自動ポートフォリオ管理 |
| インシュアテック | 保険 × テクノロジー | 走行データに基づく自動車保険料の算定 |
フィンテックの普及により、従来は銀行や証券会社でしかできなかったサービスが、スマートフォン1台で手軽に利用できるようになりました。
インターネットを活用したビジネスの総称です。
| 形態 | 意味 | 例 |
|---|---|---|
| BtoC(B2C) | 企業 → 消費者 | ネットショッピング(Amazon、楽天) |
| BtoB(B2B) | 企業 → 企業 | 部品の電子調達、企業間 EDI |
| CtoC(C2C) | 消費者 → 消費者 | フリマアプリ(メルカリ) |
| BtoG(B2G) | 企業 → 行政 | 電子入札システム |
| GtoC(G2C) | 行政 → 消費者 | 電子申請(マイナポータル) |
| モデル | 説明 |
|---|---|
| EC(電子商取引) | インターネット上での商品・サービスの売買 |
| EDI(電子データ交換) | 企業間で受発注データを標準規格で電子的にやり取り |
| エスクローサービス | 第三者が代金を一時預かりし、商品到着後に売り手に支払う仕組み。CtoC の安全性向上 |
| ロングテール | 売れ筋商品だけでなく、ニッチな商品を多数品揃えすることで全体の売上を伸ばすモデル |
| サブスクリプション | 定額課金で継続的にサービスを利用する形態 |
| シェアリングエコノミー | 個人が保有する遊休資産をインターネットを通じて貸し出す経済活動 |
| O2O(Online to Offline) | オンラインでの情報発信・クーポン配布で実店舗への来店を促す手法 |
企業が効率的に事業を運営するために、さまざまな情報システムが活用されています。FE 試験では以下の4つが頻出です。
原材料の調達から製造・物流・販売まで、 サプライチェーン全体 を一元管理して最適化する手法です。
顧客との関係を長期的に管理し、顧客満足度と LTV(顧客生涯価値) を最大化する手法です。
企業の基幹業務(会計・人事・生産・販売・在庫など)を 統合的に管理 するシステムです。部門ごとにバラバラだった情報を一元化し、リアルタイムに経営状況を把握できます。
| 従来(個別システム) | ERP(統合システム) |
|---|---|
| 部門ごとにシステムが分断 | 全社で1つのデータベースを共有 |
| データの二重入力が発生 | 一度の入力で全部門に反映 |
| 経営状況の把握に時間がかかる | リアルタイムに経営データを分析 |
営業活動のプロセスを 可視化・自動化 して、営業効率と成約率を向上させるシステムです。
| 機能 | 内容 |
|---|---|
| 顧客管理 | 顧客の基本情報・接触履歴を一元管理 |
| 商談管理 | 案件の進捗状況をステージごとに可視化 |
| 行動管理 | 営業担当者の訪問件数・活動量を記録 |
| 売上予測 | 商談データから将来の売上を予測 |
| レポート | 営業成績の自動集計・分析 |
SFA と CRM は機能が重なる部分がありますが、 SFA は営業プロセスの効率化 、 CRM は顧客との関係構築 に主眼を置いている点が異なります。
| システム | 説明 |
|---|---|
| BI(ビジネスインテリジェンス) | 企業が蓄積したデータを分析・可視化して経営判断を支援するツール |
| ナレッジマネジメント | 個人の知識やノウハウを組織全体で共有・活用する手法 |
| グループウェア | メール・スケジュール・掲示板など、組織内のコミュニケーションと情報共有を支援するソフトウェア |
ポイント
技術ロードマップ は技術の進展と製品への適用を時間軸で示した計画図。 MOT は技術を経営に活かすマネジメント手法で、「魔の川」「死の谷」「ダーウィンの海」の3つの壁がある。 イノベーション にはプロダクト型とプロセス型、持続的と破壊的がある。 API エコノミー は API 公開による連携でビジネスを拡大する。 フィンテック は金融 × IT の革新的サービス。e-ビジネスの取引形態は BtoC・BtoB・CtoC 等に分類される。企業の情報システムでは、 SCM (サプライチェーン最適化)、 CRM (顧客関係管理)、 ERP (基幹業務統合)、 SFA (営業支援)の4つが重要。
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